ホテル清掃日誌

清掃会社の人間が日々思ったことを書いています

終わりなき戦い:消臭編その3

 さらに消臭編の続きです。これまで書いてきたように消臭剤のスプレーやオゾン脱臭機などで臭いが取れれば良いのですが、強烈な香水臭やタバコ臭などそれでも取れないような臭いは臭いの元から断つという方法が必要になります。

 

 まず、香水臭の場合ですが、部屋の換気と平行して、臭いの発生源を特定し、そこに付着した臭いの元(香料)を洗剤などを使用して拭き取るという作業が必要になります。ただ、この臭いの元を探すのが結構難しく、部屋の中で鼻をクンクンして臭いを嗅ぎ回るしかないのですが、警察犬ならいざしらず、私のような普通の人間の鼻ではさっぱりわからない時もあります。そういう時はベッドルームやバスルームの鏡の前やベッド周りなどゲストが香水を使いそうな場所を手当たり次第拭き上げ、臭いを薄くしていくという方法しかありません。

 

 余談ですが、奥の手として希釈した塩素系漂白剤(ハイターなど)を臭いの元に吹き付けて拭き上げるという方法があります。臭いの元さえ特定できればだいたいこれで解決するので、私は急いでいる時などはこの方法を使うのですが、ハイターを使いすぎると独特の嫌な臭いが残ってしまうので他人にはあまりオススメはしません。

 

 換気や消臭剤の噴霧でも取れない強烈なタバコ臭の場合は、特定の場所に臭いの元があるというよりも部屋全体に染み付いていることが多く、壁や家具などに洗剤や消臭剤を吹き付けてから拭き上げて臭いを除去するということになります。非常に地道な作業です。長期滞在のヘビースモーカーのゲストがチェックアウトした時などは寝具やカーテンにも臭いが染み付いているので、そういう場合はそれらもクリーニングに出す必要があります。カーペットに臭いが染み付いている場合はカーペットシャンプーも必要になります。

 

 中には喫煙者なのに部屋のタバコ臭が気になるという人もいますが、基本的には喫煙部屋でタバコ臭がするのは当然なので、喫煙部屋はそこまで完全に除去しなくても構いません。しかし、禁煙部屋でタバコを吸われた場合はもう最悪で、臭いがひどい時には上記のように寝具やカーテンもクリーニングに出すので数日間その部屋を販売できないということになります。ホテルによっては「禁煙室で喫煙した場合は罰金を徴収します」と書かれたメッセージを部屋にセットしているところもありますが、それでも吸う人は吸いますし、実際に罰金を請求することはほとんどありません。私は非喫煙者なので、禁煙部屋でタバコを吸う人の神経が理解できないのですが、残念なことに世の中にはそのような自分勝手な人がたくさんいるという事実があります。

 

 また、予約の関係上で禁煙室が足りなくなった場合、喫煙室を消臭して禁煙部屋として販売することもあります。その場合もタバコ臭を完全に除去しなければならないので、非常に面倒です。

 

 毎日の消臭作業の手間を軽減するために室内にセットするタイプの消臭機器を導入しているホテルもあります。その中で個人的に目にする機会が多いのはイオンアトマイザーでしょうか。

www.airnote-sc.com

 このイオンアトマイザーは部屋や廊下の壁の上部などに設置して、アロマの香りを発生させることにより室内の悪臭を軽減するというものです。それなりに効果はあるのですが、問題がいくつかあり、まずタバコ臭には効果がありますが香水臭などにはほとんど効果がありません。

 

 また、中の消臭剤がなくなったらカートリッジを交換しなければならないのですが、このカートリッジはそこそこ良いお値段になっています。そのため、業者からの売り込みがあってサンプルを導入してみたのはいいけど、カートリッジが高くて買えないので消臭剤が切れたらそのままというホテルが結構多い気がします。

 

 ちなみに、最近はどこのホテルも喫煙フロアを減らす傾向にあり、ホテルによっては全室禁煙なんてところもあります。しかし、世の中には一定数の喫煙者がいるわけで、中にはタバコを我慢できない人もおり、禁煙室の割合が増えるほど禁煙室での喫煙が増え、清掃会社は消臭対応に追われるということになります。偉い人にはそんなこと関係ないからどんどん禁煙室の割合を増やしていくのでしょうが・・・。