ホテル清掃日誌

清掃会社の人間が日々思ったことを書いています

終わりなき戦い:消臭編その2

 昨日の続きで今日も臭いの話です。消臭スプレーの次に一般的なのはオゾン脱臭機による消臭です。オゾン脱臭機とは名前の通りオゾン(O3)を発生させることにより臭いの元を分解し消臭する機械です。家庭用のものもあるのでご存じの方もいるかと思いますが、ホテルで使用するのは業務用のものです。

 

 最近は業務用でも小型のコンパクトな物が増えましたが、以前は大型なものが主流でした。そして、私の経験上、オゾン脱臭機は大きければ大きいほど強力です。昔、某ホテルが「業者が売り込みに来たんだけど安かったからと買った」と小型のものを何台も購入しましたが、全く臭いが取れずに結局誰も使わなくなってずっと倉庫に放置されたままということがありました。

 

 とりあえず、ホテルの客室清掃の現場でよく見かけるのはこの剛腕シリーズでしょうか。

剛腕1000 GWD-1000FR オフタイマータイプ ポータブルオゾン除菌脱臭機

剛腕1000 GWD-1000FR オフタイマータイプ ポータブルオゾン除菌脱臭機

 

  ホテルで使用されているものは小型の部類に入るので、個人的には効果はイマイチな気がしますが、それでもこのオゾン脱臭機を部屋に入れて1~2時間回せばたいていの臭いは取れます。じゃあこれさえあればどんな臭いでも大丈夫なんじゃないかと思われるかもしれません。しかし、欠点が二つほどあります。

 

 まず一つ目はオゾンは人体に有害であるということ。科学的にどの程度の影響があるのかは議論の余地があるようですが、濃度の濃いオゾンを吸い込んだら健康被害が出るというのは間違いないようです。もちろん適切な濃度管理を行えば問題はなく、家庭用製品のレベルでは有害な濃度になることはないそうですが、「オゾンは有害」というイメージが強いのでホテルによっては使用したがらないホテルもあります。

 

 さらに、オゾン脱臭機は使用後には独特のオゾン臭が残りますので、必ず換気しなければいけません。そうすると、消臭が終わってもすぐにはその部屋はすぐには売れませんので、急いでいる時の選択肢としては使えません。

 

 第二の問題点は、タバコ臭、食品臭、体臭などには非常に効果的ですが、香水臭にはそれほどの効果は期待できません。特に強烈な香水臭などの場合は臭いの元を断たないとダメなので、そのような場合はオゾンを回して室内の臭いを取っても、しばらくするとまた臭いがぶり返してくるということになります。

 

 この二点の問題から私はあまり好んでオゾン脱臭機は使用していません。そこで奥の手として登場するのがこのスプライザーという機械。

 

製品案内:スプライザー | 株式会社 薬進

 

 エタノールが主成分の「インフレントE-78」という薬剤を炭酸ガスを利用して噴霧する機械で、本来は工場や病院などで設備などの消毒をする際に使用するものみたいなのですが、これを客室の消臭作業用に使っているホテルがあります。これが結構効くんです。もちろん、万能というわけではありませんが、臭いのもとがあるであろう壁面や床のジュータンに吹き付けるようにするとかなりの確率で臭いが取れます。

 

 ということで、個人的にはかなりオススメなのですが、なんせ非常にお値段が高い(60万円ぐらい)ので所有しているホテルは少ないです。

 

 消臭スプレーやオゾン、スプレイザーでたいていの臭いは取れるのですが、それでも取れない臭いについてはまた次回に。