終わりなき戦い:消臭編その1
たまには実務的な話題をということで今日は臭いの話です。ホテルの客室清掃の天敵にして永遠のテーマ。それは部屋の臭いです。この臭いにもいろいろ種類がありまして、ぱっと思いつくだけでも香水臭(アロマ臭を含む)、タバコ臭、体臭、食品臭、薬品臭、嘔吐臭、アンモニア臭、カビ臭など色々あります。
前のゲストがチェックアウトした部屋にこのような臭いが残ったまま次のゲストをチェックインさせてしまった場合、かなりの確率で「部屋が臭い」というクレームになってしまいます。ゲストに快適なお部屋を提供するのが我々の仕事ですから、これは絶対に防がなかればなりません。でも、これが実はかなり大変なんです。
まず、どの臭いでもとりあえずは換気ということになります。それほどひどい臭いでなければ換気だけで臭いが取れることもありますが、ホテルによっては部屋の窓が開けられないタイプのところも多くあります。窓が開けられない場合は部屋の入口のドアを全開にして室内から入口に向かって扇風機を回すという方法や、エアコンを全開にして空気を循環させるという方法もありますが、窓を開けた場合と比べると換気の効果は限定的です。
換気だけで臭いが取れそうになければ消臭対応をすることになります。その場合、真っ先に選択肢として上がるのがスプレータイプの消臭剤とオゾン脱臭機です。
まずスプレーで噴霧するタイプの消臭剤ですが、これは家庭用から業務用まで様々なものがあり、正直どれが良いのか私にもよくわかりません。業務用製品を扱う某社の人と話をしたことがありますが、「これ1本でどんなに臭いにも対応できる」というものはなく、臭いに応じて使い分けるしかないとその人も言っていました。消臭剤に関しては清掃会社ではなくてホテル側が用意する場合が多いので、あまり選択肢はありません。
とりあえずホテルの客室用の消臭剤と言えばこれですね。
香りのあるタイプと無香タイプがあるのですが、どっちも効果は似たようなものです。個人的にはあまり効くという印象はないのですが、ホテル業界でのシェアは高いようで、あちこちのホテルで見かけます。
次に、最近私の活動範囲にあるホテルに積極的に売り込みをかけていて、清水香の牙城を崩そうとしているのがこの「キエルキン」。
元々は家庭用で除菌がメインの用途で売っていたみたいなのですが、最近は消臭にも使えるとアピールして業務用の需要を狙っているようです。清水香がエタノールが主成分なのに対して、このキエルキンは次亜塩素酸が主成分です。文系なのでよくわかりませんが、ハイターなどの主成分の次亜塩素酸ナトリウムとは微妙な構造が違うので人体に影響はないとのことです。清水香よりは効果があるような気がしますが、所詮は消臭剤なので限界があります。
ちなみに、私が個人的に好きなのはこのグッドセンス。
これは完全に業務用なので大容量のものしかありません。タバコ臭や食品臭(特にキムチ臭)には効果があると思います。ただ、他の臭いには弱いという弱点もあります。
この他に私が使ったことのある消臭剤の名前を挙げると、業務用ではベチベルミスト、GM-Clean、ファビュラス、サニティー、その他にも家庭用が有名だが業務用もあるリセッシュやファブリーズなどがありますが、どれも一長一短で満足できる製品にはまだ巡り会えておりません。どんな臭いも消せる消臭スプレーというものを発明したら間違いなくノーベル賞ものだと思いますね。